茨城県歯科医師会は10地区の歯科医師会から構成されており、会員数は1340名余を数えます。私たちは、歯科医療を通して茨城県民皆様の「健康寿命の延伸」を目指して活動している公益社団法人です。茨城県歯科医師会会員は「医道の高揚と歯科医学の進歩発達と公衆衛生・歯科保健の啓発を図り、もって県民の健康と福祉を増進すること」という目的に沿い、日夜新しい歯科医学の習得と研鑽に努めています。また、日々自身の診療所にて患者さんの口腔健康管理に勤しむだけでなく、茨城県歯科医師会や地域の歯科医師会等が窓口となって行政と協力し、乳幼児歯科健診、学校歯科健診、歯周疾患健診、後期高齢者歯科健診等を通じて、母子保健、学校保健、成人歯科保健、高齢者歯科保健に貢献し、県民皆様の歯と口の健康づくりのための様々な活動に参画しています。
国内外における新型コロナウイルスの感染はまだ先の見えない状況が続きますが、実行するべき対策とその効果、望まれる日常の生活のあり方は明確になって来ています。私達は、県民皆様の自粛下での不規則な生活によるむし歯や歯周病の発生と重症化、又、それに伴う全身の健康悪化に危惧し、歯科医療現場では徹底した感染予防策を講じ、それらに対して責任を果たしております。
国民健康づくり運動(健康日本21)」の最上位目標に、「健康寿命の延伸」「健康格差の縮小」「生活の質の向上」が掲げられています。これらの目標を達成するためには食生活・運動不足・ストレス・喫煙・過度の飲酒などの生活習慣を改善し、「歯と口腔の健康」「全身の健康」を増進する必要があります。
歯と口腔の健康を保つのに、最も大切なことは、歯の喪失を防止することです。2018年に行われた永久歯の抜歯原因調査によれば、歯の喪失原因は、むし歯(47.0%)と歯周病(37.1%)です。また、自分の歯が多く残っている人と少ない人を比較すると、少ない人は全身疾患のリスクが高く寿命が短い、がんや認知症になりやすい、脳卒中発症の危険性が高くなる、肺炎死亡の危険性が高くなる、医療費が高いなどのデータが示されています。さらに、口腔機能の衰え(オーラルフレイル:食べる、話す、笑うことなどに支障をきたすこと)により、食べる機能の障害、低栄養、筋肉低下、運動障害、フレイル(虚弱・心身の機能低下)につながり歩行困難をきたし要介護状態へと、全身の健康にも影響を与えることが明らかになっています。
「人生100年時代」生涯にわたり歯と口腔の健康を保ちいつまでも元気でおいしく食事をするには、すべてのライフステージでかかりつけ歯科医を持ち定期歯科健診を受け、むし歯と歯周病を予防し、歯の喪失を防ぐことです。それが全身の健康を保つことにもなり「健康寿命の延伸」「生活の質の向上」にもつながるのです。
茨城県においては、フッ化物洗口普及の遅れ(むし歯予防法の中で最も科学的根拠があり健康格差の縮小につながる)、18歳以上の成人歯科健診の受診率の低下(法的義務がないので)などの問題点もあり、県民の皆様と共に改善して参りたいと思います。
茨城県歯科医師会は、歯科医療を充実させることで「健康寿命の延伸」という国家的課題に貢献できると確信しています。
茨城県歯科医師会及び会員の活動について、茨城県民皆様からのご理解とご支援を得られますよう日々努力・研鑽し、皆様の健康保持増進のため誠意をもって尽力してまいります。